2026年の労働法改正で考える、これからの製造現場づくり─安全に、長く働き続けられる現場へ

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法等は、規定ごとに段階的に施行されています。なかでも2026年4月1日施行分の改正には、製造現場の安全管理体制の見直しにつながる重要な内容が含まれています。

本記事では、2026年4月1日を中心に段階的に施行される労働安全衛生法改正の主な内容に加え、労働施策総合推進法改正による治療と仕事の両立支援について、企業に求められる対応をわかりやすく解説します。

労働安全衛生法改正で何が変わるのか

2025年5月14日に公布された労働安全衛生法の改正法は、2026年4月1日を中心に、規定ごとに段階的に施行されています。なかでも、2026年4月に施行される内容には、個人事業者などの外部人材も含めた安全衛生対策の強化や、高年齢労働者の労働災害防止など、製造業の現場運営に影響する内容が盛り込まれました。

製造現場では、企業の従業員に加え、関係請負人の労働者や個人事業者等が同じ場所で作業する場合があります。また、働き手の高年齢化が進むなか、高年齢労働者の特性に配慮した安全対策も重要になっています。

法改正の概要

今回の法改正では、主に次の5つの分野について見直しが行われています。

1. 個人事業者等の安全衛生対策の推進
2. 職場のメンタルヘルス対策の推進
3. 化学物質による健康障害防止対策等の推進
4. 機械等による労働災害防止の促進
5. 高年齢労働者の労働災害防止の推進

また、これにあわせて労働施策総合推進法も改正され、治療と仕事の両立支援を推進するための措置が事業者の努力義務となります。

本記事では、段階的に施行される改正項目のうち、製造業への影響が大きい「個人事業者等の安全衛生対策の推進」「高年齢労働者の労働災害防止の推進」に加え、関連する法改正である「治療と仕事の両立支援」についても解説します。

労働安全衛生法・労働施策総合推進法の改正のポイントは以下のとおりです。

外部人材が関わる混在作業の安全管理

工場の中を歩く作業員

製造業においては、一人親方などの個人事業者等が、正社員や外部の請負・派遣労働者等と同じ現場で働くケースがあります。こうした混在作業では、各作業の内容や時間帯、連絡方法を事業者間で調整し、安全上必要な情報を共有することが重要です。

このようなリスクへの対応を強化するため、今回の改正では「個人事業者等」を労働安全衛生法による保護の対象および義務の主体として位置づけました。製造業等の注文者が行う混在作業の連絡調整等の対象には、個人事業者等を含む作業従事者が加えられます。また、個人事業者等自身にも、安全衛生教育の受講などの措置が求められ、これらは規定ごとに順次施行されます。

混在作業場所における措置義務の拡大

注文者等が講じるべき措置(作業間の連絡調整)のイメージ

複数の事業者や個人事業者等が同じ場所で作業を行う混在作業が発生する場合、発注者等が講じるべき連絡調整や指導などの措置の対象が、自社と関係請負人等の労働者だけでなく、個人事業者等を含むすべての作業従事者に拡大されます。

例えば、自社の製造ラインで作業する従業員と、設備メンテナンスを請け負う個人事業主が同じエリアで作業する場合、発注者と個人事業主が作業時間帯や手順の調整を行い、事故を防止することが必要です。

このように、外部人材と自社従業員による混在作業が発生する事業者に対して、より広い範囲での安全衛生管理が求められます。

企業に求められる対応のポイント

これらの改正により、製造現場では外部人材も含めた安全管理体制の整備が求められます。特に以下の点を早めに確認しておくことをおすすめします。

1. 発注側として、外部人材の作業環境や条件に配慮できているか
2. 混在作業が発生する場合、連絡調整の仕組みが整っているか
3. 外部人材を含め、必要な安全衛生教育や情報共有について、役割分担が明確になっているか

高年齢労働者の活躍を支える、安全な職場環境へ

住宅街にいる高齢の作業員

2026年4月施行の労働安全衛生法の改正では、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理など、必要な措置を講じることが事業者の努力義務となりました。あわせて、国が指針を定め、事業者に対して指導・援助を行う仕組みも整備されます。

高年齢労働者はほかの世代と比べて労働災害の発生率が高く、災害が起きた際の休業期間も長くなる傾向があります。加齢にともなう身体機能の変化は、労働災害のリスクに直結する課題でもあります。

企業に求められる対応のポイント

  • 現在、厚生労働省が定める「エイジフレンドリーガイドライン」が参考指針として示されており、主に以下の5分野の取り組みが示されています。


    1. 安全衛生管理体制の確立

    経営トップが高年齢労働者の労働災害防止に取り組む方針を表明し、担当者を明確にします。あわせて、災害事例やヒヤリハット事例をもとにリスクアセスメントを実施し、優先順位をつけて対策を講じることが重要です。


    2. 職場環境の改善

    身体機能の低下を補う設備・装置の導入(ハード面)と、敏捷性や筋力の低下などの特性を考慮した作業内容の見直し(ソフト面)の両面から対策を進めます。たとえば、手すりの設置や照明の照度の確保、作業台の高さの変更や器具の配置変更などが挙げられます。


    3. 健康・体力の状況把握

    定期健康診断の確実な実施に加え、高年齢労働者自身が体力の状況を客観的に把握できるよう、継続的な体力チェックの実施を検討することが重要です。健康診断や体力チェックの結果については、本人の同意や社内の情報取扱ルールに基づき、必要な範囲で作業内容や配置の見直しに活用することが大切です。


    4. 状況に応じた個別対応

    基礎疾患の状況を踏まえ、労働時間の短縮や作業の転換などの措置を講じます。個々の体力・健康状態に合った業務へのマッチングも重要な視点です。


    5. 安全衛生教育

    高年齢労働者本人だけでなく、管理監督者に対しても、高年齢労働者に特有の特性と対策についての教育を行います。特に、再雇用や異業種からの転職など、経験のない業務に就く場合は、丁寧な教育訓練が求められます。

治療と仕事の両立を支える職場づくりが、定着率向上につながる

「治療と仕事の両立支援」のテキスト

2026年4月施行の労働施策総合推進法の改正により、職場における治療と仕事の両立を促進するための措置を講じることが、事業者の努力義務となりました。あわせて、事業主が措置を適切かつ有効に実施するための指針の根拠規定が整備され、2026年4月1日から「治療と就業の両立支援指針」が適用されています。

対象となるのは、医師により、増悪防止等のため反復・継続して治療が必要で、かつ就業を継続するための配慮が必要と判断された疾病・負傷です。がんや脳卒中なども含まれます。

改正の背景

背景には、通院しながら就労する人が年々増加していることがあります。労働者の高年齢化の進展に加え、かつては「不治の病」とされていたがんなども、治療を続けながら働くことが一般的になりつつあります。そのため、従業員が治療と仕事を無理なく両立できる環境を整備することは、人材の定着や安定した職場運営の観点からも重要性を増しています。

企業に求められる対応のポイント

  • 1. 基本方針の表明と周知

    経営トップが治療と仕事の両立支援に取り組む方針を表明し、具体的な対応方法を社内ルールとして整備します。


    2. 相談窓口の整備

    労働者本人が申し出やすい環境をつくるため、相談窓口を明確にし、情報の取扱いルールをあらかじめ定めておく必要があります。


    3. 休暇・勤務制度の整備

    治療の継続には、通院や療養のための時間確保が欠かせません。時間単位の年次有給休暇制度や、時差出勤制度、試し出勤制度など、柔軟な制度の導入が推奨されています。


    4. 関係者間の連携

    治療と仕事の両立には、事業主・人事労務担当者・産業保健スタッフ・主治医など、複数の関係者の連携が不可欠です。本人の同意を得たうえで必要な情報を共有し、就業継続の可否や就業上の措置について判断することが求められます。


    5. 個人情報の適切な管理

    治療に関する情報は本人の同意なく取得することは原則禁止されており、取り扱える担当者の範囲や情報管理体制を整えておく必要があります。

平山が支援する、変化に強い製造現場づくり

打ち合わせをする製造業の社員

今回の法改正は、単なる法令対応にとどまるものではありません。製造現場において、人材を安全に受け入れ、育て、長く活躍してもらう仕組みを見直す機会にもなり得ます。

しかし、これらの取り組みを現場に根づかせるためには、制度やルールを整備するだけでは十分ではありません。管理体制の整備と従業員への教育、両方の取り組みを行っていく必要があります。

株式会社平山では、長年にわたる製造派遣・請負事業の経験に加え、多様な現場改善の実績や人材育成事業を通じて、変化に強い製造現場づくりを支援しています。こうした法改正を踏まえて製造現場を見直す際にも、平山の各サービスは、現場の課題整理や作業改善、人材教育を進めるための選択肢となります。

現場の課題整理と作業環境の改善

トヨタ生産方式をベースとした現場改善コンサルティングにより、現状分析や改善方針の検討、社員教育を支援します。作業の流れや設備配置、運用上の課題を見える化し、現場に合った改善につなげます。

高年齢労働者が活躍できる職場環境づくり

40ヶ国・1,500社以上の改善実績をもとに、客観的な視点から、誰もが働きやすい作業環境の改善をご提案します。高年齢労働者の身体的な特性に配慮した職場づくりは、労働災害の防止に加え、ベテラン人材の定着や技術継承にもつながります。

多様な働き方を支える人材教育

人材教育事業で培ったノウハウを活かし、安全配慮義務や労務管理、メンタルヘルスなど、働きやすい職場づくりに関連する研修をご提案します。たとえば「安全配慮義務セミナー」では、企業が従業員に対して負う安全配慮義務の考え方を学べます。また「労務管理とメンタルヘルス」では、体調に配慮した従業員対応や、管理職としてのマネジメント手法を身につけられます。

平山では、それぞれの現場に合わせた最適な支援をご提案しています。現場運営や作業改善、人材教育についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ:2026年の法改正を、現場力を高める機会に

タブレットを持つ作業員

2026年の労働安全衛生法改正では、外部人材との連携強化、高年齢労働者の活躍推進、治療と仕事の両立支援など、人手不足が続く製造業にとって重要な取り組みが示されています。

誰もが安心して長く働ける現場づくりを進めることで、モチベーション向上や離職防止、ひいては採用・教育コスト削減にもつながっていきます。

「何から取り組めばよいかわからない」という場合も、ご安心ください。平山では、現場の課題を丁寧にヒアリングし、作業環境や運用、人材教育の観点から、現場に合った改善策をご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。
製造業の現場改善(GENBA KAIZEN) 平山コンサルティング

人材教育事業

「現場改善コンサルティング」「製造請負」「製造派遣・人材紹介」という事業の中で培った社員教育ノウハウを活かし、出張セミナー研修運営等さまざまな人材教育事業を提供しております。

研修・セミナーの内容もご要望に応じてカスタマイズすることもできます。人材の育成・教育にお悩みでしたら御気軽にお問い合わせください。

出張研修のコンテンツ一例

  • 安全衛生 / 「安全配慮義務セミナー」 「職長教育」  「安全管理者専任研修」 等
  • 改善 / 「トヨタ実践道場」  「IEの基礎」 「職場改善の進め方」 等
  • コスト / 「コストダウン手法」 「実践・原価管理」 「企業会計財務諸表の見方」 等
  • 新卒関連 / 「社会人としての心得とマナー」 「生産活動と5Sの基本」 等
  • 生産 / 「生産管理の基礎」 「5S」 「TPMと設備保全」 等
  • 品質 / 「現場で役立つ品質管理」 「現場力を高めるISO9001」 等
  • マネジメント / 「仕事のムダの改善と問題解決」 「管理者の役割と責任」 「労務管理とメンタルヘルス」 等
  • 労務 / 「法務研修」 「適正請負セミナー」 「派遣法セミナー」等
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短期的な人員の補充には「派遣」、正社員雇用が必要な場合は「紹介」という形で、お客様のご要望にマッチした、即戦力となる人材をお届けいたします。

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「機械設計」「電気電子設計」「ソフトウエア開発」「プラント設計」など、高度な技術力を要求されるこれらの分野でも高い評価をいただいています。

トップレベルのスキルを持つエンジニアから、サポートを行うスタッフまで、幅広い技術者を取りそろえて、お客様の開発環境の最適化を支援しています。開発&設計技術者派遣事業については、平山グループ内の(株)トップエンジニアリングが担当いたします。

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